2004年提案「年金改革法案」−厳しさと救い

くましろ昭彦国会短信第51号(04/3/12)

1.厳しい改革に一筋の救いー現在及び将来の年金額は下がらない

(1)日本の年金制度を今後100年安心なものにするための厳しい改革です

 今回の改革の第一の狙いは「今後100年、間違いなく老後生活の主柱となる安定した年金制度の確立」です。そのための厳しい改革です。しかし改革への痛みを最小限に止めるために次のような工夫をしました。

ア.現在の年金額は下げない

 現在受けている国民年金及び厚生年金(共済年金も同様。以下同じ) は1円たりとも減額することないようにマクロ経済スライド(後でご説明します。)を実施する際に工夫しています。これから裁定される年金についても同様です。

イ ただし、物価が下がると物価スライドで年金額も、従来どおり下がります

 これは止むを得ません。だから私は毎年物価を2%上げる金融政策を主張しているのです。イギリスはこれを実施し、大変景気が良くなっています。日本もこれを実施すれば間違いなく景気が良くなります。

(2)年金保険料の負担が働く世代及び企業に過重にならないようにする

 第二の狙いは年金保険料の負担が働く世代及び企業に過重にならないようにすることです。

 現在の13.58%(労使折半)を毎年0.354%引き上げ、2017年以降18.30%に固定します。これまで最高20%までと計画されていたものを1.70%引き下げるのです。その結果、現在の年金水準は男子の平均手取り収入の59.3%ですが、20年前後かけて緩やかに、50.2%まで引き下げることになりました。また、国民年金の保険料は2005年4月から毎年280円づつ引き上げ、2017年度以降16900円に固定します。(いずれも2004年度価格)

2.マクロ経済スライドで100年間の調整方針を確立し、法定

 年金額が下がらないのに何故、現在男子の平均手取り収入の59.3%の年金水準が50.2%に調整できるのでしょうか。それはマクロ経済スライドによる調整で工夫をしているからです。マクロ経済スライドとは難しそうな名前ですが、実は簡単です。平均余命が伸びる(毎年0.3%伸びると決められています。)とそれに応じて年金額を調整します。65歳以後の平均的な年金受給額総額を平均余命が伸びても同じにするためです。

 また被保険者(年金保険料を払う人)の数が減る(毎年0.6%減ると推定しています。)とそれに応じて年金額を調整します。

 両方で毎年0.9%調整することになると推定しています。だから物価(新規裁定の時は賃金水準)が2.0%上がった時には0.9%調整して1.1%だけ年金額を引き上げるのです。物価や賃金が0.9%以下しか上がらないときは調整を先送りするので年金額は決して下がらないのです。ただし、物価が下がればマイナスの物価スライドが実施されるのは前述のとおりです。この方法で年金水準が50.2%になった時にマクロ経済スライドはストップします。そして2100年までその水準で年金を支給することが可能なのです。5年毎の財政再計算は今回限りで止めます。うまく行っているかどうかを検証することは今後も5年ごとに行いますが財政再計算をしての法律改正は今回が最後です。

3.70歳以上でも賃金の高い人には年金の一部又は全部を支給停止に

 就労しておられる70歳以上の方で、賃金と年金(厚生年金と基礎年金夫婦2人分)を合わせて61.2万円を超える時は、賃金の伸び2に対し、厚生年金1を調整する仕組みを導入します。ただし、老齢基礎年金は全額受けられます。月々61.2万円迄の年金と賃金の合計収入の方には年金を全額支給し、それを越えてサラリーが高いときは、 月給が例えば2万円高い時には年金の方を1万円支給停止するのです 年金の目的は老後の所得を保障することなので、給料が良い時には70歳未満の人と同様に少し支給額を減額させていただく趣旨です。ただし、70歳を過ぎれば年金保険料を負担することがないのは従来どおりです。

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