デフレ克服こそ今日本の最大の課題
くましろ昭彦国会短信第47号(04/5/20)
1.物価上昇率2%の日本を創ろう!
今の日本の最大の課題はデフレ克服、物価上昇率年2%の日本を創ることです。構造改革はその次の課題です。次と言っても後回しにすることではありません。同時にやらなければならない。しかし、構造改革は、第一義的には個々の企業が、又個人が血を流してやるべき課題です。現に激しくやっています。
しかし、その構造改革の努力はいわゆる「合成の誤謬」を生みます。リストラ、リストラで個々の企業が黒字になることは良いことですが、その結果、社会全体としてはデフレスパイラルになる。現になっています。政府がやるべきことはこの合成の誤謬を直すことです。勿論予算の組み方等では構造改革に心を配らなければなりません。しかし、政府の最大の努力はデフレスパイラルの克服に、簡単に言えば物価上昇率2%の日本を創ることに向かわなければなりません。
このことを理解しない人は間違いなく経済音痴です。その批判は今や我が小泉総理にも向けられています。総理は「専門家の意見は割れている。」と言いますが、割れているからこそ総理がこの決断と実行を断固としてしなければならないのです。この決断と実行が出来なければ残念ながら愛する我が国の将来を破壊しないために、替わって頂くしかありません。
2.物価上昇2%の日本はどうすればできるか?
金融・財政の専門家が腰を抜かすような、次のような政策のいくつかの実行が必須です。日銀法を改正し、「日銀は政府と協力し、物価安定数値目標(CPI年率+2%±1%)を達成すること」という趣旨の条文を挿入することも有効でしょう。
@毎月日銀は5兆円の国債を市場から買い切る。
A政府の保有するJR、JT、NTT等の株を日銀が買い(買戻特約を付け、株主の権利を、国と日銀が共同で行使)、そのお金約10兆円を補正予算・減税等に当てる。(法律改正が必要)
B政府が国債を発行する時に15兆円程、日銀が新札を発行して引き受ける。(昭和7年に高橋是清大蔵大臣が実行、緩やかなインフレを起こすことに見事に成功した。)(法律改正が必要)
C新法を制定し、政府が日銀券と1対1で交換可能な政府紙幣を1回だけの措置として、例えば50兆円発行し、不良債権の処理、無税償却した不良債権の引当金に対する税金相当額約9兆円を返済すること、児童年金の創設など少子化対策等に支出する。
3.物価上昇2%になると何が良くなるか?
(1)皆が元気が出る
大部分の人がこれなら事業が出来る。商売が出来ると感じて元気がでる。そして実際に動き始めるからです。日本の経済は今はきわめて巨大で、政府が例えばITが良いと方向を示すとそこは直ぐに過当競争になります。多くの人が元気を出して自分で知恵を出し、それぞれの分野を開拓し、力を発揮出来る環境を創ってこそ経済全体が活気が出るのです。それが物価上昇年率2?3%の状態です。
(2)年金も2%上がるし、少し時間は掛かるが預金金利も3?4%になる。
年金は物価スライドですから物価上昇2%なら、間違いなく2%上がります。今年のように0.9%下がっても、実質価値は同じなのだと説明されても元気が出ない。同じなら上がった方が元気が出る。少し時間は掛かるが、そのうち、預金金利も3?4%になる時が来ます。そしたら金利分は安心して買い物に使えます。
4.今すぐ2〜5%の利回りを手に入れる方法もある。
(1)貯蓄から投資へ(株の配当の税金は10%に引き下げられた!)
それは日本の株なのです。世界的な株安と銀行持ち株規制法の相乗効果で日本の株価は日経平均8,000円前後に暴落しました。現在株を沢山持っている人や企業に取っては大変な事態です。しかし、全く株を持って無くて、資金的に余裕がある人には、新しいチャンスが出来たのです。貯蓄オンリーから投資にも目を向ける時です。いわゆる三分法で自分の資産の三分の一を株投資に向けるオーソドックスな方法がお薦めです。(もちろん素人の場合、借金で株を買うのは禁物です。)
現在の株の配当利回りは、平均で1.18%です。(東証一部)。2%前後の利回りのものもかなりあります。日本ビルファンド等の不動産投資信託(JREIT)では一口50万円前後で配当は5%前後です。2003年にオープンするビルの新築ラッシュで賃貸料が暴落するかもしれないとの恐れから「2003年問題」が言われる中ですが、万一配当が1/2に落ちてもまだ利回り2.5%です。2年定期の0.044%、10年国債の0.575%等と比べて各段に有利です。配当課税も今年から10%に思いきって引き下げられました。(利子課税は20%)
(2)「投機から投資へ」、視点を変えよう。
考え方を変えなければなりません。株の売買益を狙って短期に大もうけをしようとすればそれは投機です。バブル崩壊で株の投機をやった人は大やけどしました。素人がやるべきことではありません。
素人は倒産の可能性のほとんどない会社を慎重に選んで、配当利回りが預金や国債よりもかなり良い事を確認して買うべきです。そして資産株として配当を楽しみながら中長期に保有する。たまたま高くなったら有りがたく売っても良い。値が下がったら決して売らない。そんな運用をすべきです。これが株を「投機から中長期の健全な投資」の対象として見るよう視点を変えることです。
(3)株式会社は人類が発明した最高のソフトの一つ
経営能力があるが十分に資本がない人間に株を買うと言う形で多くの人が資本を提供して縦横に活躍してもらう。それが成功したらお返しに妥当な配当を貰う。このことがわが国のまた世界の自由主義社会の経済を発展させてきました。そうです。株式会社は「民でできることは民でやる」ために人類が考えた最高のソフトなのです。そのソフトに投資家として参画すること、これが株を買うことです。素晴らしい社会貢献なのです。株投資を悪いことと考えるわが国の風潮は完全に間違っています。株投資を罪悪視した数々の規制を全廃しなければなりません。
(4)営利は悪ではない
日本には営利は悪いことだと考えている人がかなり居るように思えます。営利には良い営利と悪い営利があることを当たり前の話ながら再確認する必要があります。良いサービスや品物を提供して多くの人に喜ばれて利益を上げることは良い営利です。人を騙したり、傷つけたり、反社会的なこと、不道徳なことをして利益をあげるのは悪い営利です。良い営利は社会に役に立ちます。良い営利を積極的に行って世のため人の為に貢献し、「オネスト マネー」を稼ぐことは善であることを再確認し、それに参画する株投資も善であることを再確認することから、日本の直接投資の推進は始めなければなりません。
(5)それでも証券会社は行きづらい
そういう人の為に、証券取引法改正案が、現在、国会審議中で、間もなく成立します。そうすると証券仲介業制度が出来ます。日本証券業協会の証券外務員資格試験を受ければ、誰でも証券外務員になれ、証券仲介業をすることができます。例えば現在保険の仲介業をやっている人が証券仲介業も兼ねる、そんなイメージです。
銀行・証券等の共同店舗が昨年9月解禁されたので、その活用も徐々に行われるでしょう。さらに、発想の転換を図り、法律を改正すれば、郵便局や信用金庫、信用組合での証券仲介も実施することができましょう。
(6)営利活動、非営利活動そして効率的政府活動が補い合い、助け合う社会が理想的
私は「NPOの熊代」として認知して頂いているので、営利活動を推奨すると「おや」と思われるかも知れません。営利活動、非営利活動そして効率的政府活動の総てがこの上なく大切なのです。そしてこの3分野の活動が補い合い、助け合う社会こそが理想的社会で、私のビジョンでもあります。