経済・保健福祉研究会第57回セミナー講演録

日時:平成18年4月26日(水)
場所:ルポール麹町3F「マーブル」

講演:「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の目指すもの〜官から民への橋渡し」
独立行政法人 年金・健康保険福祉施設整理機構 理事長 水 島 藤一郎 先生

報告:「これまでのこと、これからのこと 日本のそして私たちの」
前衆議院議員 熊 代 昭 彦

■開会の挨拶
前衆議院議員 熊代昭彦

(拍手)皆様、こんばんは。今日は、本当にお忙しい中をこうしてご出席を賜りました。ありがとうございます。高い席からでございますが、心から感謝を申し上げる次第でございます。この会も、皆様方のお支えで五十七回を数えることになりました。本当にありがとうございます。いろいろと勉強を重ね、皆様方のご意見を伺いながら、よりよい国政をということで頑張ってきたところでございます。これまでのお支えに感謝しますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。

今日は、司会から紹介がございましたように、お手元にございますレジメもいただいておりますが、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構理事長の水島先生が、大変お忙しい日程の中からお時間をお差し繰りいただきましてご出席いただきまして、ご講義をいただけることになりました。年金や健康保険の施設は、もう特別会計に負担を掛けない、負担を最少にする。最高の値段で売りなさいという法律ができましたので、旧労働省関係のものは借地も多かったので、雇用を優先して、値段はただ同然でもいいという感じだったのですが、それでは年金特会、そして政府管掌の健康保険特会に被害を与えるではないか。最高の値段で売るのだという決議がされて、法律ができたわけでございます。

しかし、そこに働いている人はどうなるのだということでありますから、働いている人の職場を確保する。それとともに、その施設をいかして使う。口幅ったい人がいますが、施設をぱっと倒して、みんなパチンコ屋になってしまうのではないかということを言っていらっしゃる人もいらっしゃいますが、そんなことではなくて、本当にいかす方法があるのではないかというのが私どもの思いでございまして、今日はそういった観点から、この事業の責任者で、日夜ご苦労いただいております水島理事長、お手元にレジメがございますのに、昭和四十四年に三井銀行にご入行でございます。それで、要職を歴任されまして、平成十五年には専務取締役兼専務執行役員、法人部門統括責任者、平成十六年四月には副頭取に推されまして、副頭取兼副頭取執行役員、法人部門統括責任者をされまして、平成十七年十月に、多くの皆様のご要請を受けられまして、この整理機構の理事長の大変難しい職務をそのすばらしいご能力で処理していただくということで、理事長にご就任いただいたわけでございます。

今日は、本当にお忙しい中のこのお時間を割いていただきましたことに対しまして、改めまして感謝を申し上げる次第でございます。理事長からすばらしいお話もいただけますし、これはどうなるのだという話とか、そういうご質問をどんどんしていただきたい。

それから、お食事は、毎回のことでございますが、講義が始まりましても、お食事を終わるまで食事をしていただきたい。講師の先生方にも、毎回同様、水島理事長にもご了承をいただいておりますので、ご遠慮なく食事を続けながら、耳を貸していただきたいと思います。ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。(拍手)

それでは。水島理事長、お願いします。

■講演:「年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)の目指すもの 〜官から民への橋渡し」
独立行政法人 年金・健康保険福祉施設整理機構 理事長 水島藤一郎先生

(拍手)ご紹介をいただきました水島でございます。熊代先生から過分なお言葉をちょうだいいたしまして、はなはだ恐縮いたしておりますが、まず、本日このような機会をいただきましたことにつきまして、熊代先生に心から御礼を申し上げる次第でございます。

私どもの機構は、昨年の十月一日に設立されております。後ほど申し上げますとおり、民間人主体の組織になっておりまして、仕事のやり方等はかなり自由に決められるという面もありますが、一方で、官としての制約も大変多いわけであります。試行錯誤を繰り返しながら、一日一日仕事を続けているというのが実態でありますが、このような機会を通じまして、私どもの機構の内容についてご説明を申し上げ、皆様方のご意見をちょうだいできる。これによってよりよい結果を求めてまいりたいと考えている次第でございます。

資料に沿ってご説明してまいりますが、今司会の方からもお話がありました、まず表紙に非常に長い名前でありまして独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構と。この整理機構という名称から、事業を廃止して、不動産として売却する機構であると考えておられる方が多いと感じております。こういうやり方ではいかにも後ろ向きでありますし、なおかつ、私どもに期待されている役割は果たせないと考えておりまして、下に英文名がありますが、RFOと書いてあります。RはRe-adjustmentでありまして、再生、再調整という意味を込めたものであります。したがいまして、本日はRFOということで話をさせていただきたいと思います。

それでは、資料に沿ってご説明をしてまいります。まず2枚めくっていただきまして、1ページをごらんいただきたいと思います。

ご関係の方もいらっしゃいますので、既にご存じのことを申し上げることになるかと思いますが、まずRFOの趣旨、目的等について、ポイントをかいつまんでご説明いたしたいと思います。

まず、目的でありますが、1に書いてあります、年金福祉施設等の譲渡または廃止等の業務を行うことによりまして、国民年金保険事業、厚生年金保険事業あるいは政府管掌健保の適切な財政運営に資することを目的とする、ということでありますが、すなわち、今、熊代先生のお話にもありましたが、既に年金等の財源からの資金の投入は止まっておりますが、このような追加投入を止めるとともに、譲渡代金をそれぞれの特別会計に戻すということであります。したがいまして、私どもの課題は、直接的にはこれらの施設を極力高く売るということであります。

業務内容につきましては三点でありまして、譲渡、廃止、また、それまでの間の運営及び管理を行う。また、これに附帯した業務を行うということであります。

なお、その下にありますが、法律の成立に際しまして、衆議院厚生労働委員会で附帯決議が付されております。この附帯決議の内容は四点でありまして、ポイントだけ申し上げますと、厚生年金病院、これはまだ出資されておりませんが、地域の医療体制を損なうことのないように、十分検証した上で策定する。これは政府部内で策定することとされております。

また、終身利用型老人ホームの譲渡に当たりましては、入居者の新たな生活の場を確保するよう十分配慮する。また、譲渡に当たりましては、地元自治体と事前に協議、相談をしなさいと。

四番目としては、施設に従事する従業員の方、職員の方の雇用に十分配慮しなさいということであります。

二ページをごらんいただきたいと思います。業務の概要であります。これは中期目標、中期計画等によって規定されておりますが、機構は、設立の趣旨を踏まえまして、多様な譲渡方法を通じ、中期計画期間中、これは五年間であります。二十二年九月三十日までの五年間にすべての出資対象施設の譲渡を終了させる。これが私どもに課せられた役割であります。

売れ残った場合はどうするかということでありますが、それ以降は、管理運営の主体であります私どももなくなってしまいますし、今回の健康保険法等の改正によりまして、福祉事業が法律の根拠を失うことになりますので、したがいまして、売れ残った場合には、事業を廃止して、不動産として国に戻すことになるということであります。したがいまして、いわば公的施設として存続するという出口は閉ざされているということであります。

具体的な業務方法でありますが、(2)番から申し上げますと、「契約方法」は、原則として一般競争入札であります。例外は、借地上にある施設をその土地所有者に売却する場合は、随意契約が可とされております。

また、「譲渡条件」につきましては、公序良俗に反する利用を除きまして、基本的に条件を付さないこととされております。ただし、その下にあります「地域医療に貢献している施設(社会保険診療所、健康管理センターあるいは保養ホーム)」、また「入居者に配慮すべき施設」、老人ホームであります。また、「同一都道府県内に代替施設がないことから、その中心的な機能を維持することが必要な施設」として、北海道厚生年金会館とサンピアさぬきが定められておりまして、これ以外の施設に関しましては譲渡条件を付さずに売却するということであります。

三ページをごらんいただきたいと思います。「譲渡価格」につきましては、不動産鑑定手法に基づき、その不動産鑑定価格をベースに、予定価格を決定していくことになっております。現在私どもに出資されておりますのは、昨年の十月一日時点の不動産鑑定でありますので、今後予定価格の設定に当たりましては、基本的には再度不動産鑑定を取り直すという手続をとりたいと考えております。

「譲渡対価の支払い」でありますが、即時支払いであります。ただし、地方公共団体が購入する場合は、対価の支払いについて弾力的に配慮することになっておりまして、これは五年間の延べ払いを認めるということであります。

(6)、(7)、(8)に関しましては先ほど申し上げたとおりであります。

また、それ以外に、「年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全」という業務がありまして、資産価値の向上を図るために必要な措置を講ずる。また、適切な維持管理に努めるということが定められております。

また、(3)ですが、経営実績、経営見通し、建物の老朽度等を総合的に勘案し、不適切と認められる場合は運営を停止することになるわけであります。

四ページをごらんいただきたいと思います。このような方向に沿いまして、私どもとしては、買受需要の把握及び各種の情報収集を行っていくわけでありますが、そのため、これをベースにして、いわゆる一般競争入札にかけてまいります。これは入札公告からスタートするわけでありますが、その際には、極力幅広く情報提供を行うことにいたしておりまして、機構の運営状況に関する情報の開示はもちろんでありますが、譲渡対象施設に関しまして、不動産の状況、経営の状況等につきまして、詳しく開示する方針であります。

以上が私どもの機構の仕事の内容でありまして、これを一言でまとめたものが右下に三点まとめたものであります。すなわち、年金財政等への損失の最小化を図るために五年間ですべての出資施設を譲渡することであります。そして、原則として一般競争入札により、極力高く譲渡する。そして、譲渡に際しては、公共性及び雇用に配慮する。この三点が当機構の基本的な役割、仕事の仕方であります。

五ページをごらんいただきますと、現在私どもRFOに出資されております施設を類型別に整理いたしております。現在の出資総数は二百八十八施設であります。今後、厚生年金病院、その他現在未出資の施設が出資される見込みでありまして、最終的にはトータル三百十四になる見込みであります。

この出資価格でありますが、二百八十八施設ベースでありますと千九百二十二億円であります。これに対する国費財産簿価は約六千四百億円でありまして、この差については既に償却されているということであります。この千九百二十二億円より高く、より以上に売れば、年金等の財政に関して既に償却されたものがプラスになるということであります。

トータルの三百十四になりましたときの出資価格につきましては、まだ決定されておりませんが、略々でありますが、二千五百あるいは二千六百億円程度になると言われております。これに関しましては、出資時点で最終的に数字が固まっていくということであります。その全体の国費財産簿価は約八千九百億円であります。

以上申し上げましたことが、基本的に法律あるいは中期目標、中期計画で定められました事項でありますが、これに基づいて、私どもとしてはどのように仕事を進めていくかということを設立以来検討を進めてきたわけであります。

私どもの業務運営方針として、六ページに三点お示しいたしました。この考え方は、基本的に事業譲渡をベースに考えていきたいということをお示ししたものでありますが、その考え方の根拠となっておりますのは、先ほど二百八十八施設で千九百二十二億円の出資と申し上げました。そのうち、これを土地と建物等に分解いたしますと、土地は約八百億円であります。建物等が一千百億円であります。したがいまして、事業を閉鎖してしまいますと、建物に価値を見出すためには、新たな計画を立てなければなりません。したがいまして、現在の事業がどのような価値を持つのかということを我々としては提示していくことが必要だと考えておりまして、建物も含めて、この千九百二十二億円を実現していくためには、まずもって事業に着目することが必要であると考えている次第であります。

二番目の考え方でありますが、先ほど来ご説明申し上げておりますとおり、雇用に配慮すると。実は、三百十四ベースで約一万人強の従業員、職員の方がいらっしゃると思います。この方々の雇用についてどうしていくかということを、我々としては委託先公益法人の皆様方とご一緒に考えていかなければならないと考えておりますが、基本的に雇用を維持するためには、事業を継続することがまず基本になると考えている次第であります。

したがいまして、私どもの目指している方向でありますが、まず第一は、極力現在の事業を継続していくことを前提に、検討を進める方針であります。そのためには、各施設の皆さんが、収益改善、経費改善の両面で事業価値の向上を目指して努力していただくことが、まずもって重要であると考えております。そのための方策について、後ほど申し上げます。

次に、現在の事業だけでは、民間事業としてなかなか成立しない施設もあります。これに関しましては、事業形態の変更あるいは不動産の活用等を通じまして、何とかしてコアの事業を基本的に存続させつつ、民間事業として継続できないかという可能性を追究してまいりたいと考えております。

この結果といたしまして、「雇用に配慮し得る譲渡形態を目指す」ということでありますが、事業譲渡の場合には、そこに働いていらっしゃる方の能力がどうであるかということが極めて重要な要素であります。そのために、働いていらっしゃる職員の皆様方の民間事業への適用について、この点に関しても、公益法人の皆様方とも議論を重ねていきたいと考えておりますし、また、でき得ることならば、従業員の方ご自身がその事業を買い取って継続する、いわばMBOと申しますか、マネジメント・バイアウトの略でありますが、そのような形態が出てくれば、これは非常に望ましいことだと考えている次第であります。

すなわち、この下に書いてありますが、「官業から民業への橋渡し」が何とかしてできないだろうかというコンセプトの下に、私どもの仕事を進めてまいりたいと考えておりまして、すべてというわけにはまいりませんが、少なくとも多くの施設がその事業価値が不動産価値よりも高くなるように、事業の収益性の向上策を幅広く検討してまいりたい。そして、いろいろな手段を通じまして事業プランを立案し、提示してまいりたいと考えております。そのためには、これが実現可能なプランとなるよう、委託先、公益法人の皆様方との一体的な取組みを行っていく方針であります。

七ページをごらんいただきますと、このような方針に基づきます十七年度下期六カ月でありますが、この六ヵ月間に我々は何をしてきたのかということを取りまとめてあります。

まず、譲渡戦略を策定し、譲渡業務を促進するために、総合アドバイザーを設置いたしまして、二百八十八全施設に関しまして事業調査、不動産調査を実施いたしました。事業調査と申しますのは、その事業から出るキャッシュフローが、出資時の不動産価値を上回ることができるかどうかという考え方であります。これは民間事業になった場合のキャッシュフローを前提といたしますので、もちろん、売上がどの程度増加し得るであろうか、経費がどの程度削減できるだろかということ、また、その後に例えば建物の償却あるいは固定資産税等の税の関係、法人税等の税の関係等をすべて調整いたしまして、基本的にはそのキャッシュフロー総額が投資総額の一〇%を上回るかどうかという検証を現在行っているということであります。一〇%を上回ることができれば、その施設は民営化したとしても、事業として十分に成立するということでありまして、そのような施設に関しましては、その点に関して譲渡に際しましては強く訴えてまいりたいと考えているところであります。

次に、不動産調査でありますが、この不動産調査に関しましては、まず一つは市場の状況を調査いたしております。また、譲渡方式に応じた追加費用の策定を行っております。また、最適用途の検討を行っているということでありまして、これは不動産の観点から、この不動産はどのような収益を生むはずであるという考え方のモデルを整理しているということであります。

現在、この二百八十八の施設に関します調査は基本的におおむね完了いたしました。この調査に基づきまして、現在、各施設の出口戦略、この施設をどのような形で譲渡していくか、事業としてどのようになるだろうかということを検討し、その方向を決めるという作業をいたしておりまして、これに基づきまして、広範なマーケティング活動を実施してまいりたいと考えております。

十七年度下期に行いました点の第二点目は、一部の物件に関しまして売却を行いました。対象は、社会保険庁時代に既に閉鎖済みとなった施設及び福祉施設を建設するために購入済みの土地について、売却を実施いたしました。これらの施設は、既に事業を行っておりませんので、雇用の問題も発生しないということもありますので、まず市場にさらしましてその反応を見る。いわばテストマーケティングの位置づけとして実施したものであります。

八ページをごらんいただきますと、その入札結果をお示ししてあります。下期中に入札いたしましたのは、全体二十件でありました。二十件のうち、落札されましたのは九件でありまして、十一件が不落あるいは不成立になっております。不落・不成立が多いというのは、基本的には出資時の価格に関しまして、予定価格を設定する際に、それを下回る予定価格の設定を行わなかったことが基本的な原因であると思っております。

落札の概要でありますが、九物件でありまして、落札額総計は六十二億九千万円でありました。これに際しまして、右下にありますが、(3)にありますとおり、出資額の合計は四十二億二百万円でありました。真ん中の(2)に「RFO簿価」とありますが、これは出資時点から与件が変わったものについて減損を行っております。減損によって低価法による簿価の修正を行っておりますが、これによります簿価の修正結果は三十一億四千七百万円でありました。したがいまして、簿価対比では二〇〇%、出資額対比では一五〇%の結果になっているということであります。

この内容についての評価でありますが、九ページをごらんいただきたいと思います。落札物件につきましては、原則として出資価格を下回る予定価格の設定を行っておりませんので、まずまずの成果が出ておりますが、この要因は、一部の都心の物件に関しまして、出資額対比非常に高く売却できた物件がありまして、その要因が主たる要因であります。したがいまして、この一五〇%あるいは二〇〇%という数字に関しては留保すべきだと思っております。

また、落札結果を踏まえました、今後の機構の運営上の指針となる点でありますが、まず、どういう方が、どういう価格で入札なさったかという結果を見てみますと、私どもは、どういう用途にお使いになるのですかということは入札の際に伺っているわけでありますが、やはり用途によって非常に大きな差があります。はなはだしいものは、ある用途とある用途の間に十倍の差があります。最低でも二倍ぐらいあります。

したがいまして、不動産として、建物もでありますが、その用途をどのような用途にするのが経済価値が一番高くなるのかということに関しましては、我々としては十分に検討し、それに関しまして、私どもとしての考え方を整理して、提示しなければならないと考えている次第であります。

また、これは当たり前のことでありますが、入札者が多い物件ほど高く売れるということであります。落札物件に関します平均入札件数は二・八件でありました。最低件数は一件でありまして、最大件数は七件であります。やはり件数が多いほうが高く売れているということであります。

不落物件については、二十件中十一件と大変多いわけでありますが、これに関しましては、基本的に予定価格の設定方法について妥協しなかったということもありますので、こういう結果になっておりますが、こういう状況になっている要因は、そこの下にあります、おおむね二点に要約できるのではないかと思っております。

まず、既に売却いたしましたのは、すべて廃止済みの施設であります。したがいまして、廃止施設は、廃止直後から急速に劣化が進むわけでありまして、その劣化を何としても食い止めなければならないというのがまず第一点。また、既に閉鎖いたしておりますので、その事業価値の提示が困難であるということ。この二点から、入札額がかなり低くなっているという傾向にあります。したがいまして、私どもといたしましては、入札前の事業の廃止は極力回避すべきであると考えているところであります。

次に、一部について買受けの基準となる価格を提示する必要があると考えております。不落物件の中に、市場実勢とは大幅にかけ離れた、極端に低額での入札が散見されております。これは公的な財産に対する低額購入期待が非常に強いという印象を持っておりまして、このような物件に関してどのような価格設定をすればいいのかということについては、買受側にも考え方を整理するといいますか、その基準を設定することが難しいのかなという感じがいたします。

また、地方物件、低額の物件について入札件数が少ない、あるいはゼロというケースが多い状況であります。入札なしというのは、不落物件の十一件中四件が不成立になっているわけでありまして、このような物件に関しましては、最低売却価格と申しますか、そのような一定のめどをお示しする必要があるのではないかと考えている次第であります。

なお、不落物件につきましては、劣化防止の観点から市場価値の再算定を行いまして、早急に売却する方針であります。

十ページをごらんいただきますと、ここは私どもの前期の決算をお示ししておりますが、一応十九億円のプラスが出たということでありまして、予算対比では四十八億七千万円のプラスが出ているということであります。ただ、この数字をどう評価すべきかということについては、もちろん、五年間を通じなければ評価できないと考えております。

十一ページごらんいただきたいと思います。以上の結果を踏まえまして、私どもといたしましては、この価値を上げていく、あるいは落札率を上げていくために、現在、これから申し上げます三点を実施あるいは検討中であります。

まず第一は、施設の事業価値の向上策でありますが、一部の施設に関しまして、民間への管理委託の委託先を公益法人から民間に変更いたしました。この施設に関しましては、委託先公益法人から経営委託返上の申し出があったものでありまして、これを受け入れますと、事業が閉鎖されてしまうということであります。したがいまして、事業閉鎖になりますと、すぐに資産価値は劣化してまいりますので、この施設価値の維持向上を図るために、このような対処をとったわけであります。

事業価値の維持向上を目的とした管理委託は、ペアーレ京都及び神明苑について行っております。不動産価値の劣化防止は、単純な管理だけを委託するものでありますが、福岡のヘルシーパル船小屋、鹿児島のたるみず、そしてペアーレ名古屋について行っているところであります。今後も必要に応じ、この方法については活用を図ってまいりたいと考えております。

次に、落札率の向上策でありますが、最低売却価格を公表する入札方式を一部の物件について導入する方針であります。なお、最低売却価格に関しましては、施設売却の際、官報に公告いたしますので、その公告時に公表いたします。

対象物件といたしましては、比較的少額の物件、具体的には、私どもの簿価で一億五千万円以下程度の五十一施設、百四十三物件でありますが、これに関しましては、最低入札価格、最低売却価格を設定し、公告することといたしております。

また、複数の入札者があった物件に関しましては、これも一応市場に聞いてみたということになると考えておりまして、これに関しましても、一定のめどをお示しする必要があるだろうと思っておりまして、複数の入札があって不落になった物件に関しましても、最低入札価格を設定する方針であります。

もう一点は、土地所有者と随意契約交渉を行った。これは大体都道府県等が主体でありますが、都道府県が買わないとおっしゃった物件について、最低入札価格を設定する方針であります。

次に、十二ページをごらんいただきたいと思います。現在は、施設を一つずつ譲渡いたしております。しかし、事業形態としてネットワークを形成したほうがより事業価値が上がるものも多くあると考えております。したがいまして、一般的に「バルク」と言われておりますが、複数施設の一括譲渡方式を検討し、できれば早期に導入してまいりたいと考えております。

次に、事業のみを分離した譲渡があり得ないだろうかということを現在検討いたしております。特に、社会保健センターあるいは社会保険健康センターは、カルチャーセンター、フィットネスクラブ中心の事業であります。これに関しましては、民間並みの受講料を取り、一定の経費削減が行われれば、事業として十分に成立すると考えられるものが多いと考えておりますが、一方で、この施設があります場所は、県庁所在地の大体一等地、あるいは地方第二都市の一等地であります。不動産価値もなかなか高い。ざら場でやるとマンション業者に負けてしまうということになりかねないと思っておりまして、私も百余りの施設に伺ってまいりましたが、非常に多くの利用者の方がいらっしゃいます。そういう方々の行き場所がなくなることは、極力避けられれば避けたいと考えておりまして、できればその事業を不動産と切り離しをいたしまして、どなたかにお引き受けいただけないかということをした上で、その不動産について別に入札にかけていくという手法がとれないだろうかということを現在検討中であります。本質的にもなかなか難しい点がありまして、果たして実現するかどうか、やや自信のない面もありますが、せっかく今まで皆様方がご努力なさっていらっしゃった事業でありますので、それを極力大切にして、次に引き継いでいく方法はないかということをあきらめずに追究していきたいと考えているということであります。

十三ページに、最後に譲渡施設の計画を公表いたしましたので、ここに記載いたしております。今後四年間、私どもは二十二年九月末まででありますが、原則として二十一年度中までに、このすべての施設の売却、譲渡を終了したいと考えております。一応十八年度で七十二、十九年度で九十、二十年度九十、二十一年度五十七。これには三百十三、増えましたので三百十四になりますが、この中には病院も含めた数といたしております。

十八年度に関しましては、十七年度不落分も含めまして、七十二施設を譲渡する方針でありまして、この内容につきましては、委託先公益法人の皆様方と協議を進めているところでありますが、この具体的な施設名の公表は、入札公告を行いますときに行いたいと考えております。その理由は、既にこの事業を行っておりますので、例えば現時点で七十二施設すべてを開示いたしますと、事業として劣化していくことにもなりかねません。したがいまして、おおむねの出口戦略について、これでいこうということが見えてきた時点で入札にかけてまいりますので、その時点で現場ともよくお打合せをしながら、方向感をお互いに共有して公表してまいりたいと考えているところであります。ちなみに、七十二施設の出資額合計は二百五十七億三千八百万円であります。

十四ページと十五ページに、これは参考でありますが、まず十四ページは、私どもの組織をお示ししております。ここで申し上げたいことは、現在私どもの機構は三十六名で行っておりますが、行政からは十名の方においでいただいておりまして、民間からは二十六名であります。

左側にあります役員構成には、行政の方はいらっしゃらないということでありまして、その右側の点線で囲ってあります、いわゆる譲渡に関する実働部隊はすべて民間人であります。一部に誤解もあるようでありますので、この点についてご説明申し上げる次第であります。

また十五ページに、私どもの担当部門、担当者名を記入いたしております。ぜひともそれぞれのご関係、あるいはご地元でいろいろな情報があれば、こちらに直接寄せていただきたいと考えている次第であります。

以上、RFOの事業概要についてお話ししてまいりました。先ほど申し上げましたとおり、この機構には約三十名弱の民間からの人が参加してくれております。率直に申し上げまして、非常に立派な施設であって、何とかこれを生かしたいと再三申し上げておりますが、一方で、我々は毎日毎日施設に伺っているわけでありますが、雇用の不安に直面していらっしゃる皆様方、あるいはもう行き場がないのかと考えていらっしゃる利用者の方々と毎日お目にかかっているわけであります。そして一方では、五年間にすべて譲渡するという後戻りのできない仕事をしているわけであります。十分な志を持ってこの仕事を行っているつもりでありますが、一方で非常につらい、あるいは厳しい仕事であることも事実であります。それだけに、何とかしていい出口がないだろうかと。もちろん、すべてというわけにはまいりませんが、少しでも多くの施設について、次につながるような形で譲渡していけないだろうかということを真剣に検討し、考え、また行動してまいりたいと考えているところであります。

皆様方におかれましても、機会がありましたらぜひ施設をごらんいただきまして、この施設だったらこういうふうに使えるのではないか、こういう経済価値が生まれるのではないかというご意見、ご提案、アイデア等がありましたら、ぜひとも私どもにお寄せいただきたいと考えている次第でありまして、心からその点をお願い申し上げる次第であります。

以上をもちまして、私のお話を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)

司会 ありがとうございました。ここで質疑に移らせていただきます。ご来場の皆様で水島先生にご質問、ご意見などございましたら、お手を挙げてお知らせくださいませ。

質問 前にお目にかかりました、東京厚生年金スポーツセンターのセンター長の松永です。

東京厚生年金スポーツセンターへ去年十月に転勤する前は、名古屋の愛知厚生年金会館の館長を四年ほどやっておりました。その間、こういうような動きになってきまして、室長として最大の関心事は、いかに職員の雇用を守るかということで、自分のことはさておきながら、どうやったら守れるかを本当に胃に穴が空くほど考え、悩み、いろいろ行動して、国会議員の先生、県会議員、市会議員、こちらへ来てから区議会議員の先生とかに会ったり、あるいは今で言うと、世田谷区役所といろいろ接触したりしてやっております。

そういうことで、本当にあの施設が売却になっても、事業が継続され、雇用が継続されるとすれば、本当にありがたいことだと思っているのですが、実は、国会審議のときに、社会保険庁はへんてこりんな答弁をいろいろしておりました。とにかく年金原資の損失を最小限化するために、できるだけ高く売る。事業の継続などは何もがない。何に替わってもいいのだ。雇用の問題も考えない。とにかく一般競争入札でやるのだということで、厚生労働大臣の作った中期目標も、あるいは機構で作られた中期計画にしても、非常にがちがちに書いてあります。一般競争入札は、借地上に建っている建物の売却のときは随意契約は認められているのですが、あとは全部一般競争入札です。原則としてなどはない。

だから、本当に事業を継続するときのやり方と、事業継続が期待できないときのやり方と、入札手順なども違えて考えておられるようですが、例えば事業を継続したいという人と、事業の継続は考えられない、とにかく買うのだという人と出てきたら、一体どうやって入札をするのだろうかということも考えますし、何せとにかく厚生労働省の方針と、理事長の進めておられる理想主義的なやり方のギャップが本当に大丈夫かなというふうに心配しております。以上です。

水島講師 私もこの仕事をやれと言われましたのは、去年の七月一日が内命でございました。そのときにいろいろ説明を受けました。そのとき以来ずうっと申し上げてきておりますことは、一部の例外はございますが、大半の施設は、不動産として売却したらほとんど二束三文です。もちろん、これは錦糸町の土地などが入っていますから、ああいうものは別です。大都市圏にあるような、センター長のところも同じ面がありますけれども、事業価値が不動産価値をどんなことをしても上回らないという施設もあることは事実だと思います。ただし、おおむねの施設については、事業を廃止してしまって、その建物を閉鎖して売却したら、想定されている出資価格、期待されている価格を維持することはほとんど困難だと思っておりまして、そういう意味で、率直に申し上げれば、基本的な考え方を今私が申し上げた方向に変えていただいた。そこはご理解いただいていると思います。

それで、すべてそうなりません。しかしながら、基本は何とかして事業を継続できないだろうかというふうに考えていくことによって、東京のスポーツセンターは別ですが、例えば休暇センターなどがありますね。あれで価値を生んでいるところと、価値を生んでないところが明らかに土地としてはあるわけでありまして、大半は宅地分譲してしまったほうがいいというところがあります。ただし、宅地分譲するには大きすぎるというところがあるのです。そういう意味で、あの施設を、本館に関しましては、それぞれ休暇センターなどもございますけれども、あの部分に関しては、どの部分でやるかによって事業価値がある程度違ってくると思います。

そういうことを一つ一つについて何とかならないだろうかということを現在検討しているのです。ただし、先ほど申し上げましたとおり、社会保健センターのように、まさに駅から歩いて数分のところに、みんな千坪前後ですね。この駅から歩いて数分で千坪というのは、マンションとしては最適の用地でございます。今おっしゃるとおり、これをマンション業者に勝つための価格をどう出していくのかというところが、なかなか絵がかけない施設があります。これはできることならば、だれか事業だけを引き受けてくれないかと。講師の先生方と、受講者の人たちと、従業員の人たちを引き受けてくださいと。それは事業ですから、これは随契でできると思っているのです。不動産ではありませんから。そういうことを、どこができるかわかりません。おまえはそんなかっこいいことを言っているけれども、そうはいかないのではないかとおっしゃられることになることは、ある意味では覚悟いたしておりますが、しかし、私が「もういい」と言ったら、そういうことには絶対にならないわけでございまして、何としてもまずいい出口、事業の継続を最優先で考えるということを言い続けないとだめだと思っております。

そういう意味で、従業員の方の雇用に関して申し上げれば、どういう形態、どういう地区のものをどう残していくのかという問題になってくるのだろうと思います。そのあたりを十分ご協議をしながら進めていく余地はございますし、私としてもご意見は十分承ってまいりたい。

それからもう一点、一般競争入札について、がちがちだということでございますが、これは私やってみまして、随契を認めることになりましたら、ほとんどめちゃくちゃになってしまうのではないかと思います。どこに、どういう形で随契するのかという方策が、それぞれ非常にすばらしい施設ですから、そういう意味ではむしろ混乱が大きいかなと思っておりまして、当面は一般競争入札でいくということについては、この方針を変えてくださいということは申し上げておりません。

おおむね以上でございますが、よろしゅうございましょうか。

質問(松永氏) 最後の点ですが、僕が言っているのは、随契を認めるとか認めないとかということではなくて、用途を考えずに、とにかく値段を入れてくださいと。それで、ふたを開けましょうと。それで、一番高い。とにかく売りましょうという話になっているので、事業を継続したいグループだと、事業と、雇用まで引き受けることになると、労働省の施設がそうだったように、あるいは値段が安くなるかもしれません。だから、事業を継続するよという人が示す値段のほうが低い可能性があるのではないかという気がするのですね。

したがって、そういう場合は、相手方の条件を聞いて、事業を継続するのだったら、多少安くてもそっちにするよという余地がないのではないですかということで申し上げたのです。

水島講師 ご意見はよくわかります。本来そういう考え方であれば、例えばプロポーザル方式であるとか、総合評価方式であるとか、次のステップとしては総合評価方式をどう検討していくかということだと思いますが、そういう考え方はあり得ると思いますが、逆に申し上げますと、それも一つの典型例をおっしゃっているのでありまして、現実に起きておりますことは、そういうことではないケースが多いのです。ですから、望ましい出口を作るためにどうあるべきかという議論は、確かにこうだよと売ってみても、なかなかそうはいかないという面はあるのですが、今私どもに来ているのは、地方に関しましては、その事業を何とか継続して、それを購入したい、あるいは若干買い手(改定?)もありますが、というケースが多いですね。

これも現実にどういうことが起きるかということを積み重ねながら、この議論を進めていくしかないと思っております。よろしゅうございましょうか。

質問(松永氏) ありがとうございました。

司会 ほかにございませんか。

熊代 私から一つ。大変すばらしいご説明、ありがとうございました。いい形でいけるものが多いのではないかという印象を受けましたが、非常に具体的なことを聞いて恐縮でございますが、入札のときに、裁判所でしたら供託金がありますね。そういうのはあるのかどうかということですね。

もう一つは確認でございますが、理事長さんがおっしゃったのは、要するに、事業を継続してやったほうが、土地で買って、更地にしてやるよりも高い価格に売れるはずだということだったと思うのですが、その二点をお願いします。

水島講師 まず、入札に関します保証金に関しましては、一千万円……

(テープ反転)

……を提示することができるといいますか、要するに、自らが提示しようと思っているところの五%以上を入札保証金として納めていただくというルールになっております。これは例外はございません。ただ、地方自治体等に関しましては、お申し出があれば検討は可能だと思っております。

それから、事業として売ったほうが高くなるはずだ。そういう施設が相対的に多いのではないかと考えておりますのは、まず第一点は、要するに、現在の私どもに課せられている役割は、千九百二十二億円の出資金を何とか確保しろということではあると思いますが、そのうち、建物価格が半分以上を占めております。したがいまして、その現在の建物はすべて、その事業を行うために出来上がっております。したがいまして、その事業が価値を生まなければ、その建物も価値がないということになるわけでございまして、そういう意味で、建物に関しましては、最低限事業価値を不動産価値に近付ける努力をする必要があるし、考え方ですが、私どもがやっておりますと、政府管掌健保あるいは国民年金の施設に関しましては、比較的可能かなというものが多いと思います。

(この会場に)いらっしゃっていらっしゃいますが、一番非常に大変だなと思うのは、やはり厚生年金関係の施設でございまして、これは非常に広いのですね。大きいのです。ですから、これをどのように事業を継続させながら、雇用も確保できるような形を作っていくのかということに関していえば、これは行政の支援が非常に大きなポイントになると思っております。

と申しますのは、大体都市計画あるいは地区計画がございまして、大きな施設に関しましては、調整区域に指定されているところが多いわけでございます。例えば一部について宅地開発を行うという対処を行うとすれば、調整区域の指定を外していただく必要があります。そして、地域において極めて重要な役割を果たしている施設が非常に多いと考えておりますので、一部の市区町村では、宿泊施設がそこしかないというところもかなりございます。そういう意味では、そのような本館の組織、事業に関しまして、このような事業を継続するのであれば、例えば固定資産税について減免してくれるとか、そういう形での行政の支援が不可欠であると考えておりまして、この点について、各地方公共団体と協議を進めている部分もございますし、これから進めなければならないと考えている部分もございます。

単純に、厚生年金の施設はおおむね百億円以上掛かっておりますので、この施設に見合う収益が単純に考えて上がるということにはならないと思いますが、様々なご協力等をいただいて、絵をかいていきたい。これができないだろうかと思っているということでございます。

司会 ほかにございませんか。ほかにございませんようでしたら、水島先生のご講演をこのあたりで終わらせていただきます。水島先生、ありがとうございました。(拍手)

水島先生はご退席されますので、盛大な拍手でお送りください。(拍手)ありがとうございました。

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■報告:「これまでのこと、これからのこと 日本のそして私たちの」
前衆議院議員 熊代昭彦

(拍手) 改めまして、ありがとうございます。

水島理事長には、本当に熱のこもったすばらしいご講演をいただきました。私も初めてお話をお伺いしたときに、何でもいいから高く入札をということかなと思っていたのですが、やはり高く売るということは、付加価値があってこそ初めて高く売れるのだと。ですから、付加価値を付けるということは、雇用を確保しながら、見事な事業をそこに展開するという道もあるのではないかというお話を聞きまして、なるほどなと。確かに難しい施設も、特に東京の中の厚生年金関係はなかなか難しいところもありますが、しかし、工夫の余地もあるのかなという思いを抱いているところでございます。いずれにしましても、いい施設を残して、雇用を確保して、納得のいく形で厚生年金、健康保険、そして政府管掌健保の財政にも資するという、一見二つの相矛盾するような目的を見事に調和させるようなことを、ご参会の皆様とご協力しながら、ぜひ実現してまいりたいという思いを込めながら聞かせていただきました。

お疲れのところ申し訳ございませんが、私のほうも報告をさせていただきたいと思います。

五十七回の「経済・保健福祉研究会−これまでのこと、これからのこと−」と書いてございます。このレジメを中心にお話しさせていただきたいと思います。

最初に、お疲れを解く意味で、これは名刺に書いてあるキャッチコピーですが、キャッチコピーはどういうのがいいのかなと考えてくれた人がおりまして、私の名刺には、「思いやりある、あるいは思いやりあふれる自由主義社会の構築」と書いてあったのですが、思いやりあふれるというと、小泉革命にも少し思いやりがなければいかぬなと読めるので、片山虎之助参議院幹事長のところへ行きましたら、いきなり笑い出しまして、「思いやりあふれるか」とか言っておりました。その辺を勘づいたのだと思いますが、いずれにしましても、そう書いてありましたら、これはいかにもありふれていると言うのです。「もう少しあんたらしいのを作りなさい」という。これはエイシアン・メディカル・アソシエーション・オブ・ドクターズとかいうアムダをやっている菅波先生と一緒ですが、「これは平凡すぎてありふれていてだめじゃ。あんたの方針骨頂は命がけでやることじゃないか。命がけでというのを入れなさい」と。それから、「『弱者を助けよう、命がけで』というのはどうじゃろう」と言われたので、ちょっと恥ずかしくなりまして、しかし、何度も聞いていると、あるいはいいのかなと。それで、「弱者、助けよう、命がけで」ということで、自分自身も弱者になりますし、人はいつも弱者であったり、強者であったり、弱者と強者が固定しているわけでもありませんし、また、大変な弱者と見られる人でも、下半身が完全に麻痺しておりまして、その人が交通事故に遭ったときに見舞に行ったのです。車を運転しているのです。それで、衝突しまして、大変な状況の中で見舞に行きまして、友人のお嬢さんなので、何と言ってお慰めしようかなと思って行ったのですが、その人は、自分自身を全然そういうふうに考えていませんで、「私は、ないものは嘆きません。あるものを生かして強く生きていきます。あなたも大いに頑張ってください」と逆に激励された。そういうふうに、ちょっと意識を転換すると、その人も強者になっているのでしょうし、そういうことも含めまして、今、名刺を二種類作っていまして、相手の顔色を見てどちらを出すかなと考えるという状況でございますが、こういう名刺を今パソコンで作っていますから、二種類持っているわけでございます。

そんなことを申し上げまして、お疲れを少し癒していただきたいと思いますが、これまでのご支援に対しまして、改めまして心から感謝申し上げる次第でございます。

それで、「これまでのこと、これからのこと」と書きましたのは、これまで私自身がどうしてきたか、また日本の国がどうしてきたかということもございますが、いろいろとご承知のようなことがございまして、これからもう一度国政復帰に向けてチャレンジするのだというときに、個人の思いといたしましては、あのような経緯であったら、このままでは終われない。必ずもう一度やるのだという思いはありますが、それ自身は個人の私的な思いでありますから、本当に国政に出てお役に立つということがなければならないと思います。

それでは、自分は何を目指して、何ができるのかということをもう一度整理し直したのが、今日のレジメの趣旨でございます。具体的には、参議院の比例の全国区を目指して、資料をお配りしてございますが、参議院比例代表選挙、全国区は自分の選びたい候補者の名前を書く選挙に替わっていますので、政党名を入れても政党に一票入りますが、候補者を書いていただくと、その個人の順番を上げて、しかもその政党にも一票入るということで、二重に効果がありますと。このAKメール、熊ちゃんメールと言っておりましたのを名前に替えまして、AKメール(熊代昭彦メール)としておりますが、それをお配りしてございます。

わかりきった話ではありますが、しかし、選挙に非常に詳しい人は、「参議院の比例に出るなら名簿の順番が大切だなあ。どうして名簿の上位を取るのだ」ということをおっしゃるのです。平成十三年の改正を意識しておられないことと、衆議院の比例のほうは、ブロックごとに名簿の順番に当選することになっています。詳しい方は詳しいなりにそちらと混同されるということがありますので、衆議院は確かにブロックごとで、名簿の順位どおりであります。同順位になると、惜敗率の高いほうが当選するということでありますが、参議院の選挙はそれと全然違うということを、念のためにお書きしました。

もう一つのものは、岡山で「経済・保健福祉研究会」、東京の「経済・保健福祉研究会」の兄弟分として、こちらを参考にさせていただきまして、こちらのほうは毎月やっております。それに出しました資料の一覧を便宜的に使わせていただいて、この第三回の二のところに「療養病床に係る診療報酬、介護報酬の見直しについて」、今年の四月の厚生労働省の十四ページに及ぶ資料があります。これは入手できる方にはありふれた資料でございまして、そんなものはわかり切っているということでもございますし、WAMNETなどというものもありますので、いろいろなところで入手できるかと思います。今日お配りしようかと思ったのですが、大部になりますので、これを出しました趣旨は、もしご興味がございましたら、電話かファックスかで一言言っていただければ、この中のどのような資料も直ちにお送りしますという趣旨で書いたわけでございます。これは前回似たようなものを出しましたが、それの新しいものであります。

例えば、医療の療養病床と、介護療養病床になりまして、三十八万人いるけれども、それを十五万人にしてしまおうという大方針の転換が出ました。そのうち、三十八万人の半分は、医療の必要性がほとんどない方だと。これは介護保険のほうに移ってもらいましょう。老健施設とか、特養とか、有料老人ホームとか、ケアハウスとか、いろいろなものに移ってもらいましょうということでありますが、しかし、診療報酬にはそこもちゃんと残っているのです。医療の必要の低いものが一分類で、二番目がその次、三番目は相当に医療の必要性が高いものということですが、なぜ医療の必要の低いものを残したのかと聞いてみますと、点数がものすごく低いのです。これは残されるのはやむを得ません。必ず出せとは言わないけれども、この五〇%の人たちだけでやれば、病院は経営できませんよ。経営できませんけれども、やるならどうぞというつもりで書いているのです、という話があるのです。また機会を改めまして、そういうことも含めまして、もう一度ご説明する機会があればと思います。

とりあえずこんな資料があります。もしご必要でしたら、ということで出しました。お知り合いの医療機関等でひょっとして要るという方もいらっしゃれば、すぐに対応しますという趣旨でございます。

レジメに返らせていただきまして、これまで私自身は、政治活動の目的としまして、世界に愛され、尊敬される日本を創るのだと言い続けてまいりました。今も同じ思いでございます。アメリカに五年おりまして、二年は留学させていただきましたが、三年国連で働いておりました。そういう思いからして、日本を外から見まして、日本は、我々が思っている以上にすばらしい国だし、すばらしい国の素材としてある。頑張れば、本当に世界に愛され、尊敬される日本になれるし、日本がそうなることが、世界のために実に役に立つことではないだろうか。そういう経験を含めて、思いを込めて、そういうキャッチコピー作って、そのために邁進してまいりました。その思いはまだまだ道半ばでありますので、ぜひやりたいという思いでございます。

そして、政治経済哲学として、世のため、人のために働く。先ほどのキャッチコピーでは、「弱者、助けよう、命がけで」という姿勢を貫いてきていましたし、これからも貫きたいということでございます。

実は、エイズの問題があったときに、私自身は、あのエイズの問題は、ある政党の人たちが仕掛けたことでありまして、当時は最善の知識で最良のことをやりたいと思ってやった人たちが、十七年たつと、もう完全に時代後れで、しかも完全に間違っていた。後で考えればすさまじい状況になっていたということでありますが、私自身は、自由主義社会というのは、その人たちが何か悪意でやったのだということで、徹底的にそれをメディアで責めて、あるいはメディアを利用して責めて、その人たちを窮地に追い込む。これは自由主義社会のとるべきことではない。そういう魔女狩りのようなことはしてはいけないのだ。自由主義社会の根幹を崩すという意味でファックスを流しましたら、ものすごい非難を受けましたが、しかし、私がそういうふうに抗議したとしても、その流れを変えることはできないと思います。しかし、本当に真面目にやって、今情報の洪水の中でたたきのめされている人と一緒にたたかれる覚悟はあるのだということで、やった思いがございます。

大部分の人はあまり評価してくれなかったのですから、「熊代昭彦国会短信」で出しまして、ある人が、「へえー」とか言って電話をかけてきまして、元政治家だった人ですが、「あんた、学者タイプで政治家じゃろうかなと思っていたけど、こんなものを堂々と出すのは誠の政治家じゃなあ」とか言って、たった一人評価してくれた人がおりました。同和対策に命をかけて取り組んだこともございました。これから日本の国をいいものにするために、命をかけて取り組んでいきたい。何ものも失うものはないわけでございますので、そういう思いでこれからやっていきたいと思います。

それとともに、ウのところに書いてございますように、人間を非常に広い心で見なければ、かえって間違ってしまう。世のため、人のために働くということで頑張っていると、かえって間違ってしまう。社会主義がいいということで、かえって間違ってしまった例がございます。

アダム・スミスは、それを喝破して、「利己心に勝る鞭はない」のだと言ったことはご存じだと思います。この二つの言葉を、私はいつもバランスよく心の中に持っていなければいけない。人を見るときに、利己心を持って、自分のため、家族のためになるのだということで働くその意欲は、どんなに鞭でたたかれて働く奴隷よりもはるかにすごい力を出す。鞭でたたかれたら、痛いからちょっと動くけれども、本当に力は決して出せない。会社の経営でもそのとおりであります。そしてまた、財団やNPOの経営でもそのとおりであります。本当にその人のために、その人の家族のために、あるいは子孫のために役立つということがなければできないのだと思います。

しかし、それががりがりの利己心であってはいけないので、少し長期的な目で見た利己心でなければいけないということで、「賢明な利己心」と私が勝手に付けさせていただいたのですが、その賢明な「利己心に勝る鞭はない」というアダム・スミスの哲学は、この世の中を大らかな世の中として、活力あふれる、命あふれる世の中としてやっていくものではないかと思います。二つの視点でこれからいつもやってまいりたいと思います。

また、「歴史の垂直軸、世界の水平軸で物事を見られる」、そういう広い観点でやれる政治家がどうしても必要ではないだろうか。小泉チルドレンと言われている人たちが、そうでないとは言いませんが、しかし、経験があまりに不足しているということもございます。日本社会の土性骨を本当にしっかり支える政治家がかなりのパーセンテージで必要ではないだろうかという思いでございます。

「小泉刺客の是非」とか書いてありますが、これは今論文を書いておりまして、これは小泉さんにやられたから、小泉さんのすることは悪いというふうに私自身は思いません。なかなか思いきりのいい改革を、しかもメディアをうまく活用して、実にわかりやすい、「水戸黄門物語」みたいにわかりやすいのですね。善と悪を抵抗勢力と改革勢力というわけですから、「水戸黄門物語」がなぜすかっとするかというと、善が勝って悪が負けるからでありまして、ただ、善と悪というのは、水戸黄門では明らかでありますが、現実の社会ではなかなか明らかではないのですね。しかし、メディアを活用する、国民の世論を引き付けるという意味では見事な手法であると思います。

民営化も、私自身は大賛成でありますが、ただ、私自身は、一次試験に二次試験の答えを書いて考えて、民営化賛成か反対かといったら、それは賛成です。これは一次試験でありまして、一次試験しかないので、二次試験まで考えて、しかし、四つにばらばらにしたら、これはなかなか大変なことになりますよ。特に僻地、離島は大変なことになる。アメリカの要求そのものであるけれども、アメリカは大変いい国ではあるけれども、善意の押し付けが強すぎる面もありますから、それは十分考えなければいけない。そういうことも含めて、二次試験の回答を書いたのですが、一次試験だけの選挙がありますから、一次試験で小泉さんは圧倒的に勝たれたということどあります。それはそれで一つの結論でありましょうから、私自身は、本当にどちらがよいかというのは、これから歴史の流れを見て、もし間違っていれば直していけばいいという思いでございます。

ついでに、アフガニスタンとかイラクとか書いてございますが、アメリカは、アメリカをどう見るかというのが、国際社会をどう見るかということの一番の重要なカンであると思います。私が一番驚いて、一番感嘆したある人の評価がございました。この席で一度もう申し上げたかもしれませんが、伊部 英男氏という厚生省の大先輩で、非常に優れた方がいらっしゃったのですが、腎臓の病気になられまして、アメリカに腎移植に行かれたのです。当時、日本では腎移植がそれほどうまくいきませんでしたので、かなり前でありますが、行かれまして、帰ってこられて、何と言われたかというと、「いやあ熊代君、日本はアメリカと戦争すべきでなかったなあ」と言われるのです。「そうですよねえ。日本はあのころアメリカからくず鉄を買ってやっと物事をやっていたので、あんなものすごい資源のある、国力のあるところと戦争をして勝てるわけがありませんよ」と言ったら、「それは違うんだ、熊代君。私は四ヵ月生活してみてわかったけども、アメリカ人というのはものすごいお人好しだ。あんなお人好しの国と戦争しちゃいけない」ということと、お人好しの国と戦争して勝てることもないということも恐らく含んでいたのだと思いますが、それは私もアメリカで五年暮らしまして、本当にそうだと思いました。しかし、まだ自分たちの原理原則がありますが、結構押し付けをするので、なかなか難しい面もありますが、それには有効に対処していかなければならないと思います。

イラクであれだけのことをした。これは見方が異なれば、あれは石油利権があるから、とにかく口実を設けて攻めたのだというのと、ネオコンの人のように、イラクに民主主義、自由主義は決してだめだと思ってはいけない。必ずそういうことはあるのだ。今民衆は本当に苦しんでいるではないか。それを放置しておいてどうするのだ。大量破壊兵器は、結局なかったという話になっていますが、原子力だったらないのかもしれませんが、もともとVXガスだとか言っていたのですね。サリンの百倍の殺傷力のあるVXガスを持っているということで、攻め込んだという話に少なくとも日本は理解しているのですが、それはともかくとしまして、あれだけのものすごいタイラントがいて、武力を持って、民衆が自ら蜂起して、それを覆すことはあり得ない。ならば、この大量破壊兵器の危険と、九・一一のテロの恐怖の前に、ここを民主化しようという、これもまたものすごいことでありますが、しかし、押し付けではあるけれども、世界の将来にとって非常にいいことかもしれないと、私自身は思います。

そういうことでありますが、それに対して民主党はがんがんに反対し、そして、共和党の一部も反対しますが、共和党の主たる人はそれを支持する。ということはアメリカの健全な民主主義の表れだろうと思います。

アメリカは、毎年四十兆円も軍事費を使っているわけです。日本は五兆円を少し下回るくらいです。それで今は、イラクとアフガニスタンがありますから、五十兆円使っている。若者は、二千とか三千とか戦死している。それでもやるのだということでやっているものすごい国であります。これがもし狂ったら、世界の行く末はあまり楽観できないと思います。私自身は、アメリカよ、狂うなかれと思いますが、基本的に狂ってないのではないかと思うのです。

ベトナム戦争のときにアメリカの大学におりましたので、若い二十代の後半でございますが、あの中でベトナム戦争に対して、アメリカの良心的に反対する人たちの苦しみとか、動きとかを見ておりまして、これは大変な国だと思いました。それで、自分の良心に従って行動していくのですね。私らも友達だから、「あんたも行け」とか言うので、「私は政府から留学しているから、デモに行けません」とか言っていたのですが、彼は、「反対なら行くんじゃないか。何で行かないんだ」とか責められましたが、そういう経験を得まして、やはりアメリカというのはお人好しの国だなと。しかし、お人好しにしても、押し付けがある。その押し付けも、いいものと悪いものをしっかりと見分けて、適度の距離を保ちながらやっていかなければいけないということだと思います。アメリカと中国の間にありまして、日本のこれからの将来は本当にしっかりと考えていかなければならないと思うところでございます。

あとは、少しややこしいことが書いてありますが、政党政治というものをしっかり肯定していかなければならないと思っています。役人がコリツシュウヘイであると。そういう面が非常に強いわけでありますが、しかし、直接に選挙の監督を受けないので、有権者の監督を受けてやる政治家がしっかりしなければいけないと思います。

長期政権になりたいという利己心で、中立公平な政策をしようと。それが本物であって、空の彼方から中立公正は飛んでこないのだという思いで、政党政治をおとしめないで、政党政治を有権者としっかり観測しながらいかなければ、第二次世界大戦のような悲劇をまた繰り返すことになるのではないかと思います。もっとも、今日の課題は、日本が外に攻め出すことを心配することではないと思っています。日本はもう平和に既得権を持っておりまして、平和であれば、貿易でものすごい利益を上げることができるという既得権を持っておりますので、よその国に攻め出すことはいかに愚かしいことか、いかに計算に合わないことか、いかにヒューマニズムに反することかを十二分に知っていると私自身は理解しております。今は、日本の国がほかの国に侮られて攻め込まれないという態勢をとるべき時ではないかと考えているところでございます。

保健福祉は思いやりの政策でありまして、厳しい改革がされております。医療関係者の声を聞いていますと、厚生省はもうむちゃをやるなあ。厚生省は、これで中小の病院が経営できないことをわかっているはずだということを言われております。確かにそういう厳しい面もありますが、非常にしっかり見ていくと、これをすればちゃんとやれるのだという道も考えながらやっている面もある。半面、やり過ぎの面もあると思います。やり過ぎのところはもう少し時間を掛けて、きっちりとやれる体制を整えるということを考える政治家がいていいのではないだろうか。いい面につきましては、こういう道もあるのですよということを、厚生省で役人のレベルで説明できないことをしっかりと説明しながら、了解を求めて、進むべき、生きるべき新しい道をしっかりと示す政治家も必要ではないだろうかという思いでございます。

千葉の選挙がございまして、斎藤建君が負けました。私の若き親友でありまして、内閣府にいたときも一緒だったのですが、よくいろいろ議論しましたし、本も書いて、私のホームページに、彼の書いた本の紹介もございます。『転落の歴史に何を見るか』というのですね。日露戦争のときに、あれだけすべてを根回しして、海戦を始める前からどこで終戦にいくか、どこで講和条約にいくか、どこに講和の仲介を頼むかという、それだけの根回しをして戦争に踏み切った日本が、第二次世界大戦にいくにはずるずる、ずるずるいって、何の計算もなく、終戦の見込みもなく、講和条約の見込みもなくいってしまった。このリーダーの劣化はなぜ起こったのか。この二十五年の間になぜこんなにリーダーが悪くなってしまったのだろうという観点から、岩波新書が書いたところですね。大変な学者タイプの男でありますが、学者タイプであるだけに、選挙は弱いのかもしれません。

いずれにしましても、個人対個人でしたら明らかに彼が勝ったと思いますが、小沢代表が出てまいりまして、政党対政党、政権交代こそが構想改革だというキャッチコピーで、これは政党対政党の選挙になったと思います。そういう意味で、負けたことは残念でありますが、小泉改革もおごり高ぶってはいけない。やはり国民は見るべきものを見ている。謙虚になって、もっと広く国民をしっかりと包摂していかなければいけないという警告だったのではないだろうかという思いでございます。離党勧告を受けられた人たちに対しても広い心で受け入れていく。青木幹雄氏がそう言っておられますが、そういうことが必要ではないかということを、あの選挙を見ていながら思ったところでございます。来年七月の選挙は、判官びいきで必ず反対に入れるということでありますから、なかなか難しい選挙になるだろうと思います。

今から二年前の小泉ブームが去ったときの選挙は、ご承知のように、民主党が勝ちまして、十九人当選しています。それで、民主党の最下位は十万八千か九千ぐらいで当選した。自民党は十五人で十五万五千が最下位だったという感じの選挙でございましたが、もう一度その再来があると考えて対策を練らなければならない時であろうと思います。

もっとも、参議院の比例代表選挙、全国区ですね、全国の一億人ぐらいの有権者に名前を書いていただく選挙でありますが、それに出たいということをあるところでそれとなくほのめかしましたら、「あんた、出るといって何党から出るんだ」とか言われまして、戒告処分しか受けてないので、自民党に残りましたので、やはり自民党で出たい。自民党があらゆるときに、例え選挙に不利でも、国民の将来のためにやらなければならない、いわゆる泥をかぶるということをやり続けてきたからだと思うと言ったら、「いろんな選択肢があるじゃないか。あんたもあきらめの悪い人だなあ」と言われましたけれども、しかし、やはり信念に従って進んでいきたいと思っているところでございます。

やりたいことはいろいろございますが、例えば教育改革で、大きな構想力でやっていかなければならないと思っています。二枚目の真ん中の、教育は、私学の時代を推進して、公立に奮起を促さなければならない、と思っているところでございます。

独立行政法人化して、公立大学を大学法人にしました。アメリカの大学は、百年以上の伝統のある大学は全部私学であるということでありますから、その先例にならって、東京大学を初め、すべてをいずれ本格的な私学にしようということで、独立行政法人化を進めてきたわけでありますが、これはいろいろ異論もあるところでありますが、とりあえずはあの形でまとまっておりますが、その私学化というのを、私学の自由さと、私学の経営者、理事長、そしてボードが本当にやる気があれば、本当の教育ができる。公立も、今までは私学よりも優れていたところが多いのですが、公立も私学のよさを見習って奮起しなければいけないという状況だと思います。

大学だけではなくて、高校、中学校、小学校、幼稚園、保育園、私学の時代を現出して、民間がしっかりと責任を認識してやっていけば、これはすごい教育ができるのだと思っております。志の教育とか、夢の教育とか、もう少ししっかりと性根を入れてやらなければなりません。

高校生が中学校の女生徒を殺したという悲惨な事件がありましたが、週刊誌でいろいろ書いておりますが、性的な乱れはものすごいですね。アメリカでも既に純潔教育をお互いにしようではないかということで、高校生の間から運動が起こっているようでありますが、そういうことも含めまして、自由にできる私学が先鞭を切って、そして公立がそれをならって奮起していくことが必要だと思います。

道徳教育の中にも医学の教育を入れて、健康を保つという意味で自分自身を大切にする。そういうこともやっていかなければならないし、私学ならすぐできると思います。

「親に孝」という「孝」の概念は、親や先祖を大切にするだけではなくて、自分の子孫も大切にする。この世に生を受けた人間として、自分の子供たち、孫たち、そして子孫を立派に継続させていくという精神であるということが、儒教の精神でもございますので、もう一度教育の現場にそういうものを取り入れていかなければ、日本の国は道徳の面から、そして健康の面から崩れてくると思います。

それで、これまでどういうことをやったのか、はっきりさせろというお話もございましたので、そのやったことの一端として、議員提案の実績をレジメに書いてございます。

NPO法人、ご承知のとおり、生みの親、育ての親としてやっております。二万五千の法人ができて、毎月まだ四百新しいものができているということでございます。関係者は四十万人いるということですから、もしこの三分の一ぐらいの人が熊代に投票してやろうなどという話になると、ものすごい数になりますが、これはなかなかそういう話にはならないのであります。しかし、いずれにしましても、公益法人改革が非営利法人一般法を作らないで、一般社団、一般財団、公益社団、公益財団にしましたので、特定公益活動促進法は存続が必要ではないだろうか。アメリカ型ですね。それで、公益法人のほうは、イギリスのチャリティ委員会をモデルにしていますから、そちらのほうは手続が少しややこしくなっておりますので、そういう思いを最近抱いておりまして、変なものもあるけれども、しかし、圧倒的にいいものが非常に手軽にできている。これを財政的な基礎をしっかりしながら、この行政改革の時代に、NPO法人の活躍の場を今後とも大いに推進していきたいと思っております。

人権教育啓発法も出しましたが、これは同和問題だけではなくて、すべての人の人権が大切なのだという法律を議員提案で出したわけでございます。

身体障害者介助犬法と書いてありますが、これは間違いで、補助犬法です。介助犬もありますし、盲導犬もありますし、聴導犬もございます。ちゃんと認証を受けたものは、マークを付けていれば、ホテルでもどこでも、公の場所で温かく迎えてほしい。それを法律的に義務づけるという法律でございます。

臨床検査技師法は、試験のない衛生検査技師を廃止しまして、資格の高い臨床検査の精度を高めることのできる臨床検査技師を中心とする法律を作るということで出しまして、これも成立いたしました。

銀行保有株規正法は、私が専門とする分野ではありませんが、中心になってやりました。金融を非常に盛んにやっていたものですから、当時の、八%出資しなければ銀行の持っている株を買ってあげませんよということで、銀行が放出する株をこの保有機構に売らなかったということで、ものすごい勢いで日本の株が下がっていたのです。そんなこともありますし、保有機構はわずかしか買ってなくて、一千億円の損害を抱えておりましたが、この八%を取り払っただけで、ものすごい買入れができることになりました。各銀行は全部売ることになって、株の暴落を防ぐことができた。あのとき、りそなが二兆円ぶち込まれましたので、りそな、りそなと言っておりましたが、私どもは、これが非常に大きな効き目があったと思っています。

また、ビル管理法改正案も出しまして、近代的なビル管理のあり方を確立する。

浄化槽は、環境保護のために法律的な規制をはっきりさせるということでございます。

また、国会審議の活性化のために法律を出しまして、副大臣制度を導入して、党首討論を実現した。当時の大島理森議運委員長を中心に、超党派でイギリスに参りまして、私もその一員だったわけでありますが、そのときのイギリスのクエスチョンタイム、党首討論を描写しまして、国会短信を書きましたら、大島氏が、「これは面白い。やろうじゃないか」ということで、取り入れてくださったというものでございます。

今後の問題として、補聴器技能士をぜひ法制化したいと考えております。補聴器は、三十万、四十万する立派なものを買っても、本人の能力と合わなければ、それはどうにもならない。かえってガーガーうるさくて、すぐに放置してしまうということでありますから、本人の能力と補聴器の性能とをきちっと合わせる技能のある人を、法律の資格として確立したい。今既にテクノエイドで民間の資格としてはそれが成り立っておりますが、民間の資格ではなかなかやってくれないというのが日本の風土でございます。

また、冒頭申し忘れましたが、栄養士法も改正しまして、管理栄養士を大臣登録ということで、権威のない形にしておりましたのでうまくいかなかったのですが、大臣免許に格上げしました。格上げした途端にというわけではありませんが、浸透してまいりまして、管理栄養士の権威が確立されて、栄養指導、今成人病対策とか、健康のための栄養指導でありますが、そういうのが非常に徹底してきたし、診療報酬上も評価が進んでくる。また、学校栄養士としても、教諭の資格が与えられるとか、いろいろできてまいりました。

これからは、食育基本法を中心に、食育。食育も恐らく道徳教育の中に入れたらいいのではないかと思います。性教育と一緒、あるいは健康教育と一緒ですね。そういうこともやってまいりました。今後いろいろとやってまいりたいことが沢山ございます。

子供の教育をしっかりすれば、ああいう凄惨な犯罪はなくなるのではないかということもございます。それは確かに一つそうだと思いますし、一人っ子であるということがものすごい悪影響を及ぼしていると思います。教育も大切でありますが、少年法あるいは刑法の体系のように、十四歳以下は罪を犯すことができないのだと。人殺しをしても全く犯罪にならないのだという法律をそのまま放置していること、少年だけではありません、減刑の余地が全くないのに、人をなぶり殺しにした人が今の凡例では必ず懲役十五、六年と。それで、おとなしくしていると、八年ぐらいで出てこれるのですね。これはもう正義の感覚に合わないのでありまして、教育も大切でありますし、その環境をよくすることも大切でありますが、犯罪の被害者になった人、その家族、これから犯罪の被害者になる人のために、やはり法律を替えていかなければいけないという思いを持っております。

これにはいろいろ異論もあると思いますが、今、裁判員制度が導入されております。私が申し上げたように、人をなぶり殺しにして、減刑の理由はまさしくないというときに、裁判員としては、私は死刑を出すと思います。ところが、裁判の判例からすると、決してそんなことにはならないということでありますので、これは大変異論がありますが、しかし、本当に考えなければ、そのうち犯罪大国日本ということになってくると思います。

いろいろとやりたいことを申し上げました。直近の話としましては、資料として「金融の量的緩和の解除について」というややこしい資料が一つ載っております。これは皆様もご承知のとおりでありますが、各銀行が、自分の持っている当座預金に、日銀が国債などを買い入れてくれて、それを積んでくれるわけですが、普通は、今の状況ですとそれは六兆円ぐらいでいいのですが、三十兆から三十五兆まで積んでいた。これは高橋是清がやった、例えば現在の状況で言えば、三十兆円の国債を出すのは、単純に国債を出して、それを支出したら景気はよくなるかというと、よくならないのですね。三十兆円国債を出したら、お金を民間から三十兆円吸い上げてしまうわけですから、そうすると、民間は金がなくなります。それをぼつぼつ、ぼつぼつ出していっていると、これは景気がよくなるのか悪くなるのかわからない。ですから高橋是清は、そんなことではだめだと、今の話にすればです。当時はそんな量ではなかったのですが、三十兆円日銀に輪転機を回せと。三十兆円刷りなさいと。それを予算を通じて、全国津々浦々に出すのです。そうすると、お金が増えてまいりますから、これは景気がよくなるのです。それで、その状況を見まして、インフレにならないようにうまく抑えていく。これは日銀の得意技ですから、それをやったので、昭和の大恐慌を防いだわけでありますが、陸軍がそれに目を付けて、そんなうまい話があるのならどんどん出せと言ったので、ちょっと困ってしまったわけですが、今はそれをしないで、ここに三十兆円なり三十五兆円を積んで、三十兆円の国債を出しても、ここから買ってもらえば、別に民間のお金が減らない。銀行、金融機関が自らの必要性に応じて金を引き出してくるので、これは市場に決めさせましょうということでやっているのだということなのです。

しかし我々は、高橋是清みたいに、少しぐらい印刷してもいいのではないかとか言っていたのですが、しかし、日銀は頑として聞かなかった。それをやめたと。いずれ六兆円に下ろすと。ただ、我々が主張しておりました、物価安定数値目標を出してくれまして、〇%から二%に物価は収めるのだと言うのです。ですから、これは経済発展と整合的な物価数値目標です。必ずしもこれに縛られるわけではないけれども、いつもここを目標にしてやるのだということにしましたので、量的緩和を解除しても金利がぽんと上がらなかったということであります。

それで、恐らくこれは、少し物価が上がってきますと、一%から三%という、私がいつも主張しておりました、そちらのほうに動かしていくと思います。そうしますと、例えば二%ないし三%を超えなければ、金融引締め、金利の上昇はないという安心感を与えたと思います。しかし、いずれにしましても、財務省が金利負担で大反対はしていますが、国民が貯金を預けたら、定期預金を五年預けたら、三%ぐらい利子が付くとか、そういう状況をもたらさなければ、国民から収奪して金融機関が不良債権の処理をしたのだという批判に耐えないというのが日銀の判断だと思います。

しかし、これをあまり単純にやると景気が悪くなりますから、かえって大変なことになりまして、財務省の心配しているとおりになりますので、その辺は、福井氏のかじ取りを非常によくやっていただかなければいけないと思いますが、いずれにしましても、私が議員提案の法律を準備して、日銀を脅かしていたのですが、やらなければ私がこの法律を出すとか言って、出すのはなかなか難しい話で、この会場でも、そんなことができるのですかと質問をいただいたことがあると思いますが、現実問題として、物価安定数値目標が出されたということは、私は大変うれしいし、いいことだと思っております。

それで、レジメに書いてございますように、日本では、物価もそんなに上がらないし、金利もそんなに上がらなかったけれども、アジアの市場でものすごいバブルを起こしつつあるから、これはアジアもにらんでやらなければいかぬという日銀の判断だったと思います。

以上、これから何をやるかということで、とりとめのない話になりまして恐縮でございますが、命がけで政治をやる。それで、国の危機では、命を捨ててやっていかなければならない。国会議事堂は、お墓の形をしているのだそうですね。私は、この間初めて教えていただきまして、お墓の形をしていると。何だといったら、国会に選ばれて出るような人は、お墓に行くのだと。国の危機に際しては言論を張って、例えそのために殺されても、正しい言論をして、国の危機を救うのだということなのだと教えられまして、改めまして、そういう使命の大切さを認識して、ぜひもう一度国政の場に帰って、命をかけて働きたいと考えているところでございます。

これまでのご支援に心から感謝申し上げつつ、今後ともご支援を賜れば本当にありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)

司会 ここで会場の皆様で、ご質問、ご意見などございましたら、お手を挙げてお知らせください。

熊代 どうぞご遠慮なく、少し発言していただきたいと思います。

そこに川上さんの顔が見えますけれども、川上さん、いかがですか。ご激励も含めてご発言。よろしいですか。

それでは、二時間になんなんとする長時間でございましたので、お疲れのことと思います。本当にご支援ありがとうございました。頑張ってまいります。

また、今日のテーマの年金健康保険施設につきましては、今日、水島理事長のおっしゃったことは、理想論ではありますが、理想論をとことん実現していくということで、皆様とともに力を合わせてまいりたいと思います。そういうことなら、運営するためにぜひ買ってあげようかという器用な方もいらっしゃるのではないかと思いますので、MBOで自ら外に出ることと、外から買ってくださる方が、実はこの施設をとことんいかして使ってあげるよと。土地も広いし、関連のものも少し建てたりして、経営がうまくいくようにやってあげるよという方が出れば、大変うれしいなということでございます。

質問されました松永さんのところは、厚生年金スポーツセンターですね。ものすごく広い土地でありますが、あれは公園用地だから、工夫の仕方があるかもしれませんね。公園用地だから、一般の人が買っても、公園目的以外には使えないと思いますので、そんなことで、またいろいろとご意見、ご情報を聞かせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

司会 長時間にわたりご清聴ありがとうございました。お時間もまいりましたので、このあたりで「経済・保健福祉研究会第五十七回セミナー」をお開きとさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。お気をつけてお帰りください。

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